更新日時 : 2022年10月31日
過払い金請求のデメリットとリスクの全一覧
過払い金請求は借金の完済後や、返済中でも過払い金で借金が完済できればリスクやデメリットはありません。過払い金請求をすることで「ブラックリストに載ってしまう」「クレジットカードが使えなくなる」などのデメリットがあると思っている方も多いですが、基本的にリスクやデメリットはないといえるでしょう。
ただし、借金を返済中に過払い金請求をして取り戻した過払い金で借金が完済できなかった場合に、ブラックリストに載ってしまう可能性もあります。しかし、過払い金請求をすることで借金額が減り、借金生活が短くなることは大きなメリットです。また、ブラックリストは5年程度で削除されるためブラックリストに載ってしまう心配よりも、一刻も早く借金を完済することが先決です。
ここでは過払い金請求をするデメリットやリスク、注意点を記載しました。過払い金請求の手続きをしようか不安に思っている方はぜひ確認してみてください。
もくじ
過払い金請求のデメリットとリスクは?
請求した貸金業者の利用ができなくなる
完済した借金に対しての過払い金請求をする場合でも、返済中の借金に対しての過払い金請求をする場合でも、一度過払い金請求をした貸金業者からは再度借り入れをすることが難しくなります。貸金業者は返済などの取り引きや手続きの履歴を社内で記録をしていることが多く、過払い金請求をすると「過払い金請求をした」記録が残され、貸金業社内のブラックリストに載ってしまう可能性が高く、新規借り入れをすることが難しくなります。
ただし、社内のブラックリストのため、他の貸金業者から借り入れをすることはできます。また、他社のクレジットカードであれば止まることなく使用し続けることができます。過払い金が戻ってくるメリットを考えると、大きなデメリットではないでしょう。
クレジットカード会社に過払い金請求をするデメリットとリスク
過払い金請求したクレジットカードが使えなくなる
クレジットカード会社によっては過払い金請求をすることで、クレジットカードの利用(借り入れ・ショッピング枠の使用)ができなくなります。ただし、過払い金が戻ってきて過払い金請求の手続きがすべて終わり、再度申請をすれば使用できるクレジットカード会社もあります。
同一会社の別のブランドカードも使えなくなる
別ブランドのクレジットカードを複数枚持っていても、クレジットカード会社が同じであれば別ブランドのクレジットカードも使えなくなります。例えば三菱UFJニコスはMUFGカード、JAカード、DCカード、NICOSカードなどを発行していますので、いずれかのカードに過払い金請求をした場合はすべてのカードが使えなくなります。
カードに溜まっていたポイントも消滅する
セゾンカードのセゾンポイントなど、過払い金請求をするクレジットカード会社のポイントも消滅します。過払い金請求でポイントが消滅する前に、現金化したり商品に交換するなどして使うことをおすすめします。なお、クレジットカードにつけたTポイントやwaonポイント、pontaポイントなどのポイントはクレジットカードが使えなくなっても消滅はしません。
更新月のクレジットカードが使えなくなる場合がある
クレジットカードの過払い金請求をすると、一時的にクレジットカードが使えなくなってしまうことがあります。この使えなくなってしまうタイミングとクレジットカードの更新月が重なってしまった場合、更新ができずにクレジットカードが使えなくなってしまうことがあります。全てのケースで更新できないことではありませんが、更新月が迫っているカードについては更新した後に過払い金請求をする方がよいでしょう。
公共料金・携帯料金などの引き落とし先に注意
過払い金請求をするクレジットカードが公共料金や携帯料金、インターネット料金の引き落とし先になっていて引き落としができなかった場合、ブラックリストに載ってしまう可能性があります。また、公共料金の滞納が何ヶ月も溜まってしまうと、ガスや電気などが止まってしまうこともありますので注意してください。
家族カードは発行できる
万が一クレジットカードが使えなくなっても、影響するのはカードの名義人の自分だけですから、クレジット機能月の家族カード(家族の名義でカードを発行し、同一会社のクレジットカードを家族内で使用するとして発行するカード)を作ることは可能です。家族カードは、発行する人の支払い能力を審査することはありますが、家族の支払い能力などの個人情報を調べることはありません。
デビットカードも使用可能
引き落としが翌々月のクレジットカードとは異なり、銀行口座からそのまま引き落としがかかるデビットカードなら、使用を止められることはありません。クレジット機能をつけなければ、新規発行もできますのでクレジットカードがなくてもキャッシュレスで生活ができます。
ETCパーソナルカードも発行可能
車を使用する方にとって不便なのはクレジットカードが使えなくなってしまうとETCカードも使えなくなってしまうことです。しかし、ETCパーソナルカードであれば発行することができます。ETCパーソナルカードとは、クレジット機能がないETCカードで、1ヶ月単位で登録した銀行口座から引き落とされます。カードの年会費として1,257円(令和元年10月時点)と保証金(デポジット)が必要になります。保証金(デポジット)は月の平均利用料金の4倍の額を預託する必要があり、カード発行後も使用実績に応じて保証金(デポジット)が増額することもあります。
例
平均利用金額 | 保証金(デポジット)額 |
---|---|
5,000円 | 20,000円 |
10,000円 | 40,000円 |
20,000円 | 80,000円 |
利用している銀行系のカードローンの保証会社に過払い金請求をするデメリットとリスク
銀行系のカードローンには保証人のかわりに保証会社をつけることがあり、この保証会社は貸金業者やクレジットカード会社であることがほとんどです。現在銀行系のカードローンを利用しており、保証会社になっている貸金業者やクレジットカード会社に過払い金請求をする場合は注意が必要です。
保証会社になっている貸金業者に過払い金請求をして過払い金が発生していた場合、保証会社になっている銀行系カードローンの借り入れ分に過払い金が充当されることがあり、過払い金で銀行系カードローンがゼロにならない場合はブラックリストに載ってしまうリスクがあります。
これは、保証会社になっている貸金業者に借金をしていない(銀行系カードローンは利用している)場合でも起こり得るため、保証会社となっているだけで過払い金請求に本来ないはずのリスクが生じます。銀行系カードローンを利用していて過払い金請求をおこなう場合は、保証会社になっていないか確認してから手続きをするようにしましょう。
<銀行系カードローンの保証会社になっている主な貸金業者>
銀行 | 保証会社 |
---|---|
三菱UFJ銀行 | アコム |
じぶん銀行 | |
セブン銀行 | |
ソニー銀行 | |
三井住友銀行 | プロミス |
新生銀行 | レイク |
東京スター銀行 | |
オリックス銀行 | レイクまたはオリックスクレジット |
りそな銀行 | りそなカード |
返済状況によって違う過払い金請求するデメリットとリスク
完済していない借金の過払い金請求をする場合は、状況によってデメリットやリスクが発生する可能性があります。
借金を完済している人が過払い金請求するデメリットとリスクは?
過払い金請求をすると請求した貸金業者の利用ができなくなるデメリットがありますが、他の貸金業者からの新規借り入れやクレジットカード会社のカードは使えるので大きなリスクはないでしょう。ただし、以下の場合に過払い金請求ができなくなるリスクがあります。
貸金業者が倒産した場合
貸金業者が倒産した場合は過払い金請求をすることができなくなります。年々、法定金利が厳しくなっているため、過払い金請求に対応できず、倒産している貸金業者は少なくありません。大手貸金業者なら安心と思っていても、当時大手貸金業者として名の知れていた武富士も2010年に倒産しています。また、倒産していなくても経営難の場合や吸収合併している場合も過払い金が取り戻せなかったり、取り戻せたとしても少額になってしまう場合があります。
- 倒産した主な貸金業者
-
・SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)【2008年倒産】
・アエル(日立信販・ワールドファイナンス・ナイス、エヌシーキャピタル)【2008年倒産】
・オークス【2008年倒産】
・SFCG(旧:株式会社 商工ファンド)【2009年倒産】
・武富士【2010年倒産】
・ニコニコクレジット【2011年倒産】
・SFコーポレーション【2011年倒産】
・丸和商事【2011年倒産】
・クラヴィス(ぷらっと、タンポート、シンコウ、東和商事、クオークローン、リッチ)【2012年倒産】
・NISグループ(ニッシン・オリエント信販)【2013年倒産】
・クロスシード(ネオラインキャピタル、ライブドアクレジット、かざかファイナンス)【2014年倒産】
・マキコーポレーション【2014年倒産】
・栄光【2016年倒産】
・ネットカード株式会社(GMOネットカード、オリエント信販)【2017年倒産】
・連専【2019年倒産】
・千代田信用【2019年倒産】
ここに記載のない貸金業者でも倒産している業者はいくつもあります。過払い金請求先が倒産していないかは必ず確認するようにしてください。また、弁護士や司法書士の専門家に相談することでも倒産しているかしていないかを確認することができます。
過払い金請求の消滅時効になった場合
過払い金は消滅時効があります。最終取り引き(最後に借り入れした日または返済した日)から10年、もしくは2020年4月1日以降に発生した過払い金であれば過払い金請求ができると知ったときから5年という消滅時効もありますがほとんどの場合は、最終取引(最後に借り入れした日または返済した日)から10年です。
完済してから、10年が経ってしまうと、過払い金があっても請求することはできませんので、早めに手続きをすることをおすすめします。
また、2020年に過払い金が消滅時効を迎えるなどの噂がありますが、それは全くの嘘です。消滅時効はそれぞれの取り引きによって違います。完済してから10年が経っていなければ2020年を超えても過払い金請求はできます。
借金を返済中の人が過払い金請求するデメリットとリスクは?
戻ってきた過払い金で借金を完済できる場合は、借金を完済したあとの過払い金請求と同じ扱いになるため、過払い金請求をした貸金業者から新規の借り入れができなくなる以外のデメリットやリスクはありませんが、戻ってきた過払い金で借金を完済できない場合は以下のデメリットとリスクが考えられます。
・ブラックリストに載る ・クレジットカードの審査が通りにくくなる ・住宅ローン・ショッピングローン・カーローンの審査が通りにくくなるブラックリストに載る
ローンを組むときやクレジットカードを新規発行するときなどは顧客情報(名前や住所や収入などの情報)が信用情報機関に登録されます。ブラックリストとは、信用情報機関に延滞や滞納などの事故情報が載ってしまうことをさし、一般的に「ブラックリストに載る」「ネガティブ情報が載る」「信用情報が傷つく」などといわれます。ブラックリストには携帯料金や公共料金、奨学金の支払いが遅れた場合や自己破産などの債務整理をおこなった場合に載ってしまいます。
ブラックリストに載ってしまったとしても特別に連絡が来るとこは少ないため、自分がブラックリストに載ってしまっているか知りたい場合は、信用情報機関に登録情報の開示を依頼することができます。
<信用情報機関の種類>
信用情報機関名 | 対象 |
---|---|
全国銀行個人信用情報センター/全国銀行協会(KSC | 銀行・信金・信組・農協系 |
株式会社 シー・アイ・シー(CIC) | クレジットカード会社・信販会社系 |
株式会社日本信用情報機構 | 消費者金融系 |
ブラックリストは載ってしまうと一生消えないわけではなく、5年〜長くても10年程度で削除されます。
クレジットカードの審査が通りにくくなる
クレジットカードは信用情報期間の情報を元に支払い能力があるかどうかの審査をおこなっています。そのため、ブラックリストに載ってしまうと審査に通りにくくなってしまいます。ただし、全ての借り入れができなるわけではなく、審査がきびしくない借り入れやクレジットカード会社もあります。また、5年程度の期間でブラックリストから削除されたあとは他に問題がなければクレジットカードも使えるようになります。
住宅ローン・ショッピングローン・カーローンの審査が通りにくくなる
クレジットカードと同じく、ブラックリストに載ってしまうと住宅ローンやショッピングローン、カーローンなどの各種ローンの審査が通りにくくなります。(ただし、返済中の住宅ローンはこの限りでは問題ありません。)特に直近で住宅ローンを考えている場合は、借金を抱えている場合は審査が通らない可能性があるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談してみることをおすすめします。
過払い金請求の手続きを専門家に依頼する・自分でやるデメリットとリスクは?
過払い金請求の手続きは自分でもできます。手続きは専門家に依頼をしても、自分でおこなってもやり方は同じで以下のような流れで進めます。
- 金融機関に「取引履歴」の開示を請求
- 引き直し計算
- 金融機関に直接交渉
- 返還
いつ借入をしたのか、返済日、利率などの取引詳細が書かれた履歴を取り寄せます。
取引履歴を参考に、借入金に対しての正確な返済金を再計算します。
過払い金が発生していた場合は金融機関に直接、返還の交渉(和解交渉)をします。相手と話し合いに納得できないときは裁判をします。
話し合いによる和解、もしくは裁判の判決をもって過払い金の返還が決定します。決定したのち、指定した口座に過払い金が振り込まれます。
過払い金請求の手続きを専門家に依頼するデメリットとリスクは?
自分で手続きをおこなわずに弁護士や司法書士などの専門家に依頼した場合、起こり得るデメリットやリスクは以下の通りです。
- 費用がかかる
- 事務所選びに失敗して過払い金が少なくなる
- 費用の高い事務所に依頼してしまう
- 弁護士や司法書士に過払い金を着服される
- 追加費用を徴収される
- いつの間にか依頼したことになっていきなり請求書が届く
- 依頼した過払い金請求が放置される
- しつこい電話営業に見舞われる
- 不慣れなオペレーターで取り戻せるはずの過払い金が取り戻せなくなる
費用がかかる
専門家に依頼をすると当然、費用がかかります。手続きにかかる費用に加え、専門家に支払う手数料なども必要です。
過払い金請求には交渉スキルや手続きのノウハウに加え、専門的な知識がないと、満額の過払い金を取り戻せなくなることがあります。さらに手続きには数ヶ月から長いと1年近くの時間がかかり、裁判になると裁判所通いの日も出てきます。過払い金請求には時間や手間が多くかかるため、費用がかかる分、自分の時間や手間をかけなくてよいメリットもあります。
事務所選びに失敗して過払い金が少なくなる
過払い金請求に慣れていない事務所に依頼してしまうと、取り戻せる過払い金が少なくなってしまう場合があります。過払い金をより多く取り戻すためには、貸金業者との直接交渉での交渉スキルやノウハウ、専門知識が重要になってきます。
すべての司法書士や弁護士などの専門家は過払い金請求の手続き自体をおこなうことはできますが、専門としている得意分野あります。過払い金請求は蓄積されたノウハウがない事務所に依頼してしまうと過払い金をより多く取り戻せなくなってしまいます。
過払い金請求を専門家に依頼する場合は、必ず過払い金請求を専門として扱っている事務所に依頼するようにしましょう。
事務所選びに失敗して過払い金が少なくなる
過払い請求にかかる費用は事務所によって異なりますが、日本弁護士や司法書士連合会では報酬のに関する基準が定められています。一部の項目で弁護士も司法書士も同じ基準も設けているため、過払い金請求においては弁護士、司法書士で金額に大きな差があるわけではありません。
弁護士 | 司法書士 | |
---|---|---|
相談料 | 5,000円(30分〜60分) | |
着手金・初期費用 | 1〜2万円(1社あたり) | 最大5万円 (着手金、基本報酬、解決報酬 |
基本報酬 | 適切かつ妥当な金額(具体的な上限金額の定めはない) | |
解決報酬 | 2万円(1社あたり) | |
成功報酬(過払い金) | 和解のときは20%、裁判のときは25% | |
減額報酬 | 減額分の10% |
この基準以上の金額を設定している事務所は高額な請求がくる可能性がありますので注意が必要です。良心的な事務所は事務所のホームページに料金の記載がありますので、比較してみるとよいでしょう。
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弁護士や司法書士に過払い金を着服される
過払い金を多く取り戻しても、弁護士や司法書士が過払い金を着服してしまう、悪徳事務所も存在します。明らかに戻ってきた過払い金額が少ない場合は、他の弁護士事務所または警察に相談してみてください。懲戒請求をして、業務停止や除名などの懲戒処分を課せられることができ、また、賠償金請求ができる場合もあります。
追加費用を徴収される
相談料や基本報酬、成功報酬でもない「手数料」を高額に請求してくる事務所もあります。事前の相談の際に料金の説明をしない、または過払い金請求で起こり得るデメリットやリスクの説明がない事務所は手続きにかかる手数料をとりたいだけの事務所の恐れがあります。手続きの費用に関しては、依頼をする前にしっかりと確認しておくようにしましょう。
いつの間にか依頼したことになっていきなり請求書が届く
無料だと思い弁護士・司法書士事務所へ行き、相談だけして帰ってきたつもりが、数日後にいきなりクレジットカードが使えなくなっていたり、新しい借入ができなくなっており、過払い金請求が行われてしまっていたトラブルも少なくありません。
これは相談の際に、個人情報保護などの関係上、同意書にサインを求める事務所も多く、その同意書に「御事務所にて依頼する」といった内容を含めている場合があるために起こってしまうトラブルです。本来ならば、その内容は含めるべきものではありません。ですが、サインをしたことによって効力を発揮してしまいますので、書面へサインをするときはきちんと内容を把握するようにしましょう。
依頼した過払い金請求が放置される
過払い金の返還額が少なかった場合や時効が近い場合など、手続きを放置される場合があります。高額な報酬が見込める案件から手続きを行い、とにかく利益を重視している事務所や、時効まで手続きを放置し、依頼者には「時効でできませんでした」と回答し過払い金を着服する悪徳事務所があるのも事実です。手続きを依頼した際、事務所からの連絡がこない場合は自らが定期的に連絡を確認し、進捗を確認するようにしてください。
しつこい電話営業に見舞われる
特に事前相談にいくつか行って事務所を決めた場合、登録した電話番号に営業電話が何度もかかってきてしまうことがあります。これは他の事務所に依頼したので電話をかけてこないで欲しい旨を伝えることで、営業電話は止まります。もし止まらない場合は、警察に連絡をすることで事務所に注意をすることもできます。
不慣れなオペレーターで取り戻せるはずの過払い金が取り戻せなくなる
事務所に依頼する際、まずは過払い金が発生しているかしていないかを電話(またはメール)をして確認します。電話やメール対応をするのは多くの場合、弁護士や司法書士などの専門家ではなく、事務所に勤めている事務員です。
経験豊富な事務員でない場合、過払い金が発生する条件を掌握しきれておらず、発生しているはずの過払い金を発生していないと答えられてしまうことがあります。
過払い金が発生しているかしていないかについての確認は、経験豊富な事務員が在籍している可能性の高い過払い金専門の事務所に連絡をし、過払い金が発生していないと言われても複数の事務所に連絡をして確認をする方がよいでしょう。
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過払い金請求の手続きを自分でやるデメリットとリスクは?
弁護士や司法書士などの専門家に依頼せずに自分で手続きした場合にも、いくつかのデメリットやリスクがあります。以下のことを理解した上で手続きを行いましょう。
- 取り戻せる過払い金額が少なくなる
- 手間や時間がかかる
- 貸金業者に後回しにされてしまう可能性がある
- 家族に借金をしていることがバレる
- 取引履歴の取り寄せに失敗して過払い金請求ができなくなる
- 引き直し計算に失敗する
- 引き直し計算に失敗して過払い金請求に応じてもらえなくなる
- 督促が止まらない
取り戻せる過払い金額が少なくなる
過払い金を多く取り戻すためには貸金業者との交渉力が重要です。貸金業者は弁護士や司法書士などの専門家でないと強気で交渉に望んできますから、交渉ノウハウに加えて過払い金の専門知識も必要になってきます。自分で過払い金請求をした場合と専門家に依頼した場合のおおよその返還率は以下の通りです。
<返還率の比較>
自分でおこなった場合 | 専門家に依頼した場合 |
---|---|
40%〜70% | 90%〜 |
自分で過払い金請求をした場合、過払い金を70%以上取り戻すことは非常に難しいとされておる一方で、専門家に依頼した場合はほぼ100%に近い過払い金を取り戻せることが可能です。自分でおこなった場合、専門家に支払う手数料が不要というメリットもありますが、返還率の高い専門家に依頼した方が手元によりお金を残せる場合もあります。
手間や時間がかかる
自分で手続きをおこなう場合は、
- 取引履歴の取り寄せ
- 過払い金がいくらあるのかの再計算(引き直し計算)
- 過払い金請求書面の作成
- 貸金業者との直接交渉
- 提訴書類の作成(裁判になった場合)
- 裁判所への出廷(裁判になった場合)
などすべて自分で準備しなければなりません。
直接交渉には交渉スキルと専門的な知識が必要になるため、多少の勉強は必要になりますし、裁判になった場合は、平日に裁判所に通う必要もあります。過払い金が返金されるまでの数ヶ月の間は交渉や書類作成などに時間を費やすことになるでしょう。
貸金業者に後回しにされてしまう可能性がある
弁護士や司法書士などの対応を優先して、素人の対応を後回しにすることがあります。そのため、取引履歴を取り寄せてもなかなか届かなくて、一向に手続きが進まないこともあります。
催促の連絡をしても、何かしらの理由をつけて対応してくれない貸金業者もありますので、もしも時効が迫っているかもしれない取引がある場合には専門家に依頼することをおすすめします。
家族に借金をしていることがバレる
手続きを自分でおこなう場合、貸金業者からの書類や裁判をした場合は裁判所からの書類が自宅に届くことになります。特に裁判所からの書面に関しては、普段みることがない場合が多いため、バレてしまう可能性が高いです。同居をしている家族がいる場合は注意が必要です。
取引履歴の取り寄せに失敗して過払い金請求ができなくなる
取引履歴を取り寄せる際、使用理由を聞かれることがあります。このときに「過払い金請求に使用する」と答えた場合に非債弁済を主張されて、過払い金請求ができなくなることがあります。
非債弁済とは、債務がないことを知っているにも関わらず返済を続けた場合は返還を求めることができないことで、ここでは過払い金があることを知っていて取引履歴を取り寄せ返済を続けた場合に、払いすぎた利息(過払い金)を請求することができない、ことになります。(民法第705条)今のところ、非債弁済が認められた判決はありませんが、今後も認められないと言い切ることはできません。
また、使用理由を過払い金請求とした場合、貸金業者からなんらかの理由をつけて開示を先延ばしにされて最終的には開示してもらえないケースもあるため、使用理由は「取引履歴を確認したい」などに留めておきましょう。
!ゼロ和解に注意!
取引履歴を取り寄せる際や直接交渉の際に貸金業者から「借金をゼロにするので和解(過払い金請求をしない)しませんか?」と提案をしてくることがあります。借金がゼロになることはメリットのように思うかもしれませんが、この提案がくる場合は過払い金が発生しており、過払い金額が借金額よりも高額であることがほとんどです。
過払い金請求をされることで、貸金業者は多くの過払い金を払わなければいけなくなるため、一見メリットに思える提案をしてきます。ゼロ和解をしてしまうと、本来取り戻せたはずの過払い金が取り戻せなくなるので注意が必要です。
また、ゼロ和解は弁護士や司法書士が手続きをする場合には提案してくることはほとんどなく、専門家でない個人が手続きをする際に提案してきます。不利になることが多いため、提案にはのらずに過払い金請求をする方が無難です。
引き直し計算に失敗して過払い金請求に応じてもらえなくなる
過払い金額を決定する引き直し計算は、無料のソフトなどを使用して計算することができますが1円でも間違えてしまうと金額相違のため、貸金業者が過払い金請求に応じてくれない場合があります。また、応じてもらえたとしても間違って低く計算していた場合は、取り戻せる過払い金額が減ってしまうリスクもあります。
特に借入と返済を繰り返している場合や取引履歴に載っていない取り引きがある場合には計算が複雑で間違えるリスクも高くなります。複雑な取り引きが発生している場合には、専門家に依頼するようにしましょう。
督促が止まらない
過払い金請求を弁護士や司法書士に依頼すると、依頼された弁護士や司法書士は受任通知書を貸金業者に送ります。この通知書が届くと、貸金業者は手続きは終わるまで督促や取り立てをすることができなくなるため、一時的に督促や取り立てを止めることができます。
しかし、自分で手続きをおこなう場合は受任通知書を送らないため、督促や取り立てを止めることができません。督促や取り立てに対応しながら、過払い金請求の交渉をしていくことになります。
誤解されている過払い金請求のデメリット・リスク
過払い金請求をすることでデメリットやリスクがあることはありますが、以下のようなことが起こることはありません。
- 官報に掲載されることはない
- 会社をやめさせられることはない
- 就職や転職に影響はない
- 携帯電話(スマホ)の新規購入に影響はない
- 携帯電話の利用が停止されることはない
- 家族の借入、クレジットカード、ローンの審査に影響しない
- 海外渡航に影響はない
- 賃貸借契約に影響はない
- 新規の保険契約、既存の保険契約に影響はない
官報に載ることはない
官報とは国が出している新聞のようなもの(機関紙)で、国の政令や広報、公告などが記載されています。一般的な新聞よりもページ数が多く、30ページ前後の本誌と70ページ前後の号外、60ページ前後の政府調達が毎日発行されています。過払い金請求をすることで官報に載ることはありませんが、官報に載ってしまう債務整理もあります。
<官報に載る債務整理と載らない債務整理>
過払い金請求 | 任意整理 | 個人再生 | 特定調停 | 自己破産 | |
---|---|---|---|---|---|
官報に載るか | × | × | 〇 | × | 〇 |
官報は貸金業者や信用機関、役所の税担当、一部の弁護士や司法書士などが見ることがありますが、ほとんど人は見ることがないため、官報に載ったとしても友人や会社にバレる可能性は極めて低いでしょう。
会社をやめさせられることはない
過払い金請求をしたことが理由で、会社をやめさせることは労働基準法で禁止されています。万が一やめさせられた場合は不当解雇として裁判を起こすことができます。
就職や転職に影響はない
過払い金請求をしたことが会社に知られることはないため、就職や転職に影響することはありません。ただし、過払い金請求をした金融機関に就職(または転職)する場合は影響する可能性があります。
携帯電話(スマホ)の新規購入に影響はない
携帯電話(スマホ)の新規購入に必要なものは身分証明書と携帯代金を引き落とす口座またはクレジットカードです。過払い金請求をしたことでブラックリストに載ってしまった場合でも、携帯電話の購入に信用機関を利用することはありませんし、クレジットカードが止まってしまったとしても、口座引き落としで対応できるため、過払い金請求が影響することはありません。
携帯電話(スマホ)の利用が停止されることはない
携帯電話(スマホ)代金は口座引き落としが可能です。もしも過払い金請求でクレジットカードが止まってしまった場合は、口座引き落としに請求先を変更しておくことで利用が停止されることはありません。しかし、手続きをし忘れて引き落としできなかった場合には一時的に停止されることもあります。
家族の借入、クレジットカード、ローンの審査に影響しない
過払い金請求は家族に影響することはありません。結婚している場合でも夫婦間や子どもに影響することはありません。過払い金請求をして万が一ブラックリストに載ってしまったとしても、新規借り入れができない、クレジットカードが使えなくなるなどのリスクは本人のみであり、家族は新規借り入れもできますし、クレジットカードが止まることもありません。
海外渡航に影響はない
過払い金請求をしたことで海外渡航ができなくなることはありません。
賃貸借契約を解除されることはない
賃貸借契約とは家を賃貸した場合に貸主と借主で必ず結ぶ契約のことで、これを貸主に解除されてしまうと賃貸している家から出ていかなければなりません。ですが、過払い金請求をすることで賃貸借契約を解除されることはありません。
以前は自己破産をすると賃貸借契約を解除できましたが、平成17年に法改正され自己破産をしても賃貸借契約を解除することはできないため、債務整理をしても住んでいる家がなくなってしまう心配はないでしょう。
新規の保険契約、既存の保険契約に影響はない
保険契約に個人の信用情報は必要ありませんから、新規で申し込むことが可能です。また、すでに入っている既存の保険契約も解約させられることはありません。
デメリットとリスクを回避して多くの過払い金を取り戻す方法
過払い金のデメリットやリスクを回避する手っ取り早い方法は弁護士や司法書士などの専門家に依頼することです。素人ではわからないデメリットやリスクを提示し回避、または軽減することができます。専門家に依頼すると費用がかかるため自分で手続きをおこなう方もいますが、自分でおこなった場合、手間や時間がかかるだけでなく実は過払い金の返還率も倍以上の差がある出ることもあります。より多くの過払い金を取り戻し、手元に多くのお金を残したい場合は専門家に依頼することをおすすめします。
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